施術について

鍼と灸は効果が違うのですか?

鍼治療は局所の痛みや神経痛、自律神経失調症などに効果的です。また即効性があるので少なくとも3回程度で効果が実感できます。これらの不調で来院される方がほとんどですので、当院では鍼がメインとなります。
それに対して灸は冷え性や喘息、高血圧、胃腸の問題などに効果的です。整形外科の診療所にいくと「ホットパック」や「マイクロウェーブ」といった温熱機器がありますが、これらの温熱療法より身体の深部まで温めることができます。

鍼治療をしたため、かえって悪化することはありますか?

施術を受けたほとんどの方はそのようなことはありません。ごく稀に、一次的に症状が悪化する場合があります。
筋肉の硬直が長期間にわたると、長期間神経は圧迫される状況が続きます。神経自身も血管で栄養されており、長期間圧迫を受けると酸欠状態から本来果たす機能(感覚を伝えたり、筋肉に信号を送り収縮させる)が十分に働かなくなります。
このような原理で末梢の組織に「疼痛感作物質」が溜まっているにもかかわらず、痛いと認識しなくなってしまいます。このような状況で神経の圧迫を取ると、神経が機能するようになり、今まで感知できなかった刺激を感知できるようになるのです。
これを「好転反応」や「瞑眩反応」と呼びます。
このような状況は1次的なもので永続的ではありません。98%の方は施術の2日までに解消します。残りの2%の方は3日以上続くわけですが、こういうケースの場合は再度施術を受けていただくことで軽快します。

鍼灸に流派のようなものはありますか?

鍼灸には大きく分けて「東洋医学的な見立て」と「西洋医学的な見立て」があります。東洋医学的な見立てとは、気、血、津液の通り道である経絡に対してツボに刺激を与えることで、身体の不調を正す考え方です。西洋医学的な見立てとは、解剖学をベースに病気になったヒストリーや触診、運動検査などを論理的に推察して身体の不調を正す考え方です。西洋医学的な見立てでも、鍼を入れる深さや鍼の太さも院の考え方が異なります。この辺りが統一されていないので、世間の方々が分かりにくい世界になっていると思います。
当院は「西洋的な見立て」つまり解剖学や運動学を基礎とした考え方です。

赤ちゃんも施術してもらえますか?

申し訳ありません。当院では中学生以上の方を対象にしております。

お灸は熱いですか?

お灸といっても様々なやり方があります。一般的に知られているのは「透熱灸」といってモグサをひねった米粒程度の艾炷(がいしゅ)を皮膚上に立てて火をつけて焼ききる方法です。
当院で行っているのはモグサを棒状にした「棒灸」といわれる物に火をつけて、火をつけた棒灸を近づけて温める方法です。輻射熱ですのでじんわり温かい感覚です。中国ではこちらの方法が主流で、2000年代に入り陳日新が提唱した「熱敏灸」という治療法の理論体系が確立しました。

アルコールのアレルギーがありますが治療できますか?

国内では刺鍼前の局所消毒が義務付けられています。当院では刺鍼前の消毒はアルコール綿花を使用しています。しかし、アトピー性皮膚炎の症状がある場合やアルコールにアレルギーのある方には、アレルギーが起こりにくい低刺激性の消毒液(塩化ベンザルコニウム)を使用します。したがって、問題なく治療ができます。初診の方には消毒前に「アルコール消毒大丈夫ですか?」と確認しています。

鍼治療前に気をつけることはありますか?

施術前日は睡眠を十分にとり、睡眠不足にならないようにして下さい。身体が休みたいとサインを送っている時ですので、施術より睡眠を優先してください。空腹や満腹の場合、置鍼中に気分が悪くなる場合があります。この点にも注意して来店してください。

鍼灸で事故などはありますか?

鍼管と押手を用いる日本式鍼灸で発生した有害事象(鍼灸治療総数約5万5000回)の発生率を調査した論文では、「特記する有害事象」の発生頻度は0.12%だったとしています。
このように深刻な有害事象の発生率は非常に低いことが分かっています。しかし、毎年数例の有害事象が発生していることでもあります。
当院では鍼灸における過去の有害事象を調査、分析して独自に安全ガイドラインを作成し、最大限配慮して施術を行っています。

鍼施術で痕が残ることはありますか?

鍼施術でまれに内出血の痕が残ることはあります。若年者では少なく高齢者になるとその頻度は増えます。その理由は高齢になると毛細血管の血管壁が弱くなり、微細な外力で容易に内出血が起こりやすくなるからです。通常は2週間以内に吸収され、日常生活を送るには問題ありません。

日焼けした後に施術を受けても大丈夫ですか?

強く日焼けすると紫外線があたって2~6時間後に皮が赤くなり、痛みは6~48時間後に最もひどくなります。日焼けが起こった3~8日後に皮膚が剥離していきます。
強い日焼けは熱傷の深度ⅠまたはⅡの熱傷です。皮膚に赤みがある、又は痛みがある時は施術を控えて下さい。